ぶらくり- The Black Creatures -

第四章「レオんち」

(1)

ゾディとアックの故郷アニ−ホール星のお家につくりが

似ている家の前でレオが言いました。

ここが僕んちだよ!

部屋の中に入ったらママが言いました。

「チビちゃんたちその辺で適当にごろごろしていていいわよ。」

(2)

「兄ちゃん!このソファ!フカフカだよぉ!」

アック(赤)は狂ったようにソファで跳ね回ります。

それを丸くなってにらみつけながらゾディ(青)は言いました。

「アック気をつけろ!あいつらもしかしたら俺達を食う気かも

しれないんだぞ!」「まさか…。」

(3)

その時です!ママが包丁を持って二匹の前にやってきました。

キラーン!!包丁が鈍く…鋭く…光ります。

んぎゃー!!食われるー!!」ゾディが大声をあげました。

「今日のディナーは僕達なんですかぁぁぁー?」アックは半ベソです。

(4)

二匹はブルブルと震えながら抱き合ってしまいました。

ママは包丁をもったままこう言いました。

「何物騒な事を言っているの?あなた達を料理するわけ

ないじゃないの。ところでゾディとアック?君たちは何を

食べるのかなぁ?わからないから適当に食べてみてね。」

ほっ…殺されずにすんだ…と二匹は安心しました。

(5)

二匹にとってこの星に来てからの初めての食事です。

「兄ちゃん…ドキドキするね!」

「…どくみしてから食えよ!」

「あらあら。用心深い子たちねぇ…。人間にオイタでもされたのかしら?」

…と、言った瞬間ママは「そういえば、何でこの子達人間の言葉を完璧に

理解できるのかしら?下手するとレオより話が上手かも…。」とちょっと

考えました。…がママと言う人はけっこうアバウト(よく言うと大らか)な

性格の人なので次の瞬間には考えるのがめんどうになってしまいました。

「まぁ、そんな事はどうだっていいことよね。」と考えるのをやめました。

(6)

ウマイ!!ゾディとアックはこんなに美味しいものを今まで

食べた事はありませんでした。

「口にあったかしら?」ママは心配そうに二匹をみました。

「ママ!!これすっごく美味しいですっ!」

アックはまた泣き出しました。今度はうれし泣きです。

「それは、キャロットよ。」ママはにっこり笑って言いました。

キャロット…

アックの好きな食べ物リストの1位は「キャロット」になりました。

「うまいぞー!!」ゾディはハンバーグを口に押し込んで興奮気味です。

「ママ−!大勢でご飯食べるとおいしいね!」

一人っ子のレオは兄弟ができたような感覚にご満悦です。

(7)

こうして二匹はまんまと暖かい食事にありつけました。