ぶらくり- The Black Creatures -

第六章「脱走?家出?」

(1)

「おい!アック起きてるか?」

「なあに?兄ちゃん…」

アックは爆睡していたので寝ぼけ顔です。

ゾディはアックの耳元で信じられない言葉を吐きました。

(2)

「ここ…出て行くぞ!」「えっ?どうして?」

「ここにいたらこいつとママに迷惑がかかる。」

「でも…レオはいつまでもいていいって言ったよ?」

「そんなの社交辞令に決まってるだろ?お前パパとママが

死んだ時の事忘れたのか?」「…。」

(3)

「あんなに優しかった叔父さんと叔母さんがパパとママが

死んじゃったとたん鬼のようにイジワルになっただろ?」

「…うん。」遠い昔の嫌な出来事が鮮明に2匹の脳裏に

蘇ってしまいました。

「こいつらだって本当は俺たちのことウザイって思ってるんだよ!」

アックはゾディが言っている事を信じたくはありませんでした。

「兄ちゃん…レオはそんなにイジワルな奴じゃないよ?」

「けっ!そんなのたった数日でわかるもんか!」

ゾディは悪いほうへ思考が傾いてしまっているので何を言っても

聞き入れてはくれません…。

(4)

アックはレオとママの事が少し好きになっていたので

放浪の旅へは出たくはありませんでした。

でもゾディは言い出したら聞かない奴なので

しかたなくついて行く事にしました。

レオの寝顔を見ていたら勝手に涙が出てきて困りました。

「アック!行くぞ!!」「…うん。」

(5)

その頃レオは悪夢にうなされていました。

二匹の兄弟が突然いなくなり「見世物小屋」で

かなり危険な芸をさせられている夢を見ていました。

(6)

「二人とも!行っちゃダメだぁぁぁぁぁ!」

残念な事にレオは少しだけ寝言を言うのが遅かったようです…。