ぶらくり- The Black Creatures -

第七章

「彷〈HOUKOU〉徨」

(1)

レオの家から家出してもう3日がたちました。

3日間何も食べていないのでお腹がすきすぎて体が

言う事を聞いてくれません…。

(2)

行くあてもなくウロウロしていた二匹の小さな兄弟は

歓楽街にたどりつきました。ここはやけに人が多いなぁ。

きっとご飯くらい万引きできるだろう…とゾディ(青)は

意識がなくなりつつ思っていました。その時です!

(3)

「おっ!こんなとこに食い物がおいてあるぞ!」

「あっ!本当だ!」弟のアック(赤)も大喜びです!

二匹は何のためらいもなく「ゴミ箱」をあさり始めました。

(4)

「食べてみようぜ!おっ!うめー!!」

「兄ちゃん!コレ何だかわかんないけどおいしいよ!」

ハンバーガーをほおばりながらアックはご満悦です。

「こっちの箱に入ったのもうめーぞ!」と幕の内弁当を

口いっぱいに押し込んだゾディも大騒ぎです。

(5)

「いやーねぇ…このサルどこからきたのかしら?」

「サルもこんな所にまで来るようになったワケぇ?」

「しかもこいつら毛の色ヘンだよ?」

「うぇ〜!」「ヤダー!こっち見てる!」

「ねえ…兄ちゃんあの人たちこっち見てるよ?」

「俺たちが可愛いからじゃねーか?」

ごはん粒を顔にくっつけたままゾディは言いました。

(6)

兄ちゃん…それはちょっと違うみたいだよ…。と

アックは内心ゾディにツッコミました。

「お腹もいっぱいになったからそろそろ場所を移動するか。」

「兄ちゃんまたどこかに移動するの?」

「そうだなぁ…早く住む所を見つけないとな。」

今後の抱負を語るゾディの隣で(レオの所に戻りたいなぁ…)

とアックはぼんやり考えました。

「次はどっちに行くの?」

「とりあえずあまり人がいないところかな?」

二匹の兄弟の放浪生活はまだまだ続くようです…。