ぶらくり- The Black Creatures -

第八章 「ぐるぐる」

2匹の小さな宇宙生物はレオの家から家出して

街に出てからというもの拾い食いを覚えてしまい

毎日毎日暴飲暴食を繰り返していました。

(1)

「ねぇ兄ちゃん、今日これで何回目のごはんかなぁ?」と

弟のアック(赤)が兄のゾディ(青)に聞きました。

ゾディは口いっぱいに食べ物をほおばりながら

「さぁ・・・もう7回は喰っているな。」とそっけなく言いました。

「・・・なんかこのごろ食って寝て食って寝てしかしてないよね?」と

アックが将来の不安を口にするとゾディは素気なくいいました。

「この星はアニーホール星と違って、黙っていてもごはんが喰える

んだからいい星だよな。しかも食べ物は美味いし。」

(2)

「ぐるぐるぴーXXXXX!!!」

そう言っているそばからゾディは急におなかをこわしてしまいました。

「うわっ!やべぇギョギョった!」

ギョギョとはアニーホール星語で食中毒の意味です。

運動不足で体機能の弱まった兄弟は傷んだ食べ物に

あたってしまったようです。

(3)

エクスプロージョンしそうです。

「ヴォフォフォ〜!!」

アックは思わず口から火を噴いてしまいました。

アニーホール星人は食べたものによって吐物が違う様です。

ゴミ箱に捨ててある食べ残しの食物は油物が多いから

火を噴いてしまったのでしょうか?謎です。

(4)

火を噴いた2匹は気が遠くなってしまいました。

「兄ちゃん・・・もうボク達ダメなのかもねぇ・・・。」

「アック・・・俺達もう思い残すことないくらい食ったから

いつどうなってもいいよな・・・?」

「うん・・・でも最後にレオに会いたかったなぁ・・・。」

ゾディはちょっとアックに申し訳なく思いました。

自分がアックを無理に連れて来なければアックはレオと

楽しく暮らしていて、死ぬのは自分だけで済んだからです。

(5)

もう本当に2匹の意識が無くなりかけたとき、

目の前にデカイ棒が二本立ち止まりました。

二本の棒の上から何か声がします。

「おーいチビー。生きてっかー?」

2匹は火を噴いた衝撃でもう返事をする気力もありません。

(6)

「まぁ、ひとまず家に連れて帰るか。

しかし毛色といい変わったサルだな。」

訳のわからないことをブツブツ言いながら

大きな生き物は見たこともない大きさの紙袋に

2匹をそっと放り込みました。

「兄ちゃんこれが学校で習った三途の袋?」

「そうかもなぁ・・・」

2匹の思考回路は完全にショートしています。

(7)

二匹の運命はいかに!!!